さて、皆さんはエコロジーと聞いて真っ先に思い浮かべる色は何だろうか?吉野家でいつもカレーを食べる私の非常に素直な心はやはり「緑」を連想する。緑と言えばもうそれはライムグリーンであり、ライムグリーンと言えば「カワサキ」であり、更に言えばバッタ色のモーターサイクルの事である。バッタと言えば「バッタもん」という、あまりありがたくない意味に使われたりもするが、カワサキはこの、ホンダやヤマハやスズキが採用しようものなら漏れなく不人気車種行きのカラーを頑固に守り、育てている。緑の草原ではさぞかし高い迷彩効果を発揮することだろう。
学生の頃、初めてのモーターサイクルを購入しようと本屋に行きカタログのZRXローソンレプリカを見たときには、こんな変質的なカラーリングが許されていいものだろうかと腰を抜かした覚えがある。結局、隣のページに載っていたKSR80に惚れ込み(赤色で紹介されていた)、外装を黒に変えて乗っていたのだが、人間の心理とは欲深いもので一週間後には次のモーターサイクルを品定めする私がいた。情報はもっぱらカタログとの対話によって得ていたので、繰り返し見ているとあのライムグリーンが気になって仕方がなくなってくるのである。その上カッコ良くて仕方がないとまで思うようになってきた。当時の投げやりな心理状態が安らぎを求めていたからかどうかは定かではないが、私はワナにはまったと感じた。非バイク乗り、いやカワサキというメーカーを好ましく思っているライダーの中でさえ限られたものだけが賞賛する少数派の、少数民族の仲間入りをしたのだなと。
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